HOME

  
    
家族生活教育(FLE)とは
 

正保の考える家族生活教育の3つの定義
 

 
   1.もっとも狭い定義  



 アメリカのFamily Life Education(以下、FLE)
「健康でまわりの人と良い関係を保ち、より良い社会・家庭生活が送れるように、幅広い知識を有する専門家が個人・家族に対してサポートすること」http://www.ncfr.org/cert/FLE_presentation.ppt の中のFLEの目的を要約)
を直接、あるいは自国の文化に沿った形でアレンジして教育していこうというもの。

(このHPでは、「アメリカのFLE とグループワーク」「台湾の家庭教育と韓国の健康家族支援」がこれにあたる。)


 
   2.中間の定義  
 
 アメリカのFLEとは別の形で発生、形成された予防を中心とした教育とサポート。
ただ、家族を直接対象としたもの。
家族のための予防的福祉と言い換えてもいい。

(このHPでは、「フィンランドの子育て支援」「ニュージーランドのコーヒーグループ」「香港の総合家族サービスセンターと美食科学」がこれにあたる。)


 
   3.もっとも広い定義  
 
 本来の家政学の対象範囲で、とくに食の教育を中心とした環境教育も含めた家族生活教育。
正保は、実は諸外国から称賛されかつ心配もされている我が国の食文化を継承・発展する意味もこめて、我が国にはこの広い意味での予防教育としての家族生活教育が必要ではないかと考えている。


 
     



家族生活教育の必要性












1. 家族をめぐる危機に対して多くの「 対処 」についての研究や実践はありますが、今後もっとも必要とされる分野はspan class=point01>家族の危機を予防する研究や教育だと思われます。

2. 家族をめぐる危機に対して様々な分野からのアプローチはありますが、span class=point01>予防教育という観点からのものは多分ないといっていいでしょう。
虐待等の予防教育としての教育の内容を充実していくために、家政学、社会学、法学、医学など様々な分野の知見を活かしていくことで新たな総合科学的視点を構築することをめざします。

3. 戦前からの女性向けの良妻賢母教育や、女性解放への過度の期待から家庭を骨抜きにしてしまう議論とは異なり、子ども ・個人の健全な成長 ・発達を保障し、個人と家族の自立した生活維持と幸福追求を保障する第3の視点から、男性の家事 ・育児参加も含めた新・家政学とも言うべき分野として、「 家族生活教育 」を構築する必要があります。
 



現時点での世界の家族生活教育
 
1. 日本における家族生活教育研究は、先進的な米国の紹介(狭い定義)にとどまっており、日本でどう活かすかという視点は研究されてきていないのが現状です。

2. 日本と同じ儒教的文化圏であるアジアの家族生活教育についての紹介や研究はほとんどありませんが、実はすでに韓国 ・台湾では展開中です。

3. 日本では、家族を援助するための予防システムとしての教育はないといえるでしょう。

4.  諸外国における既存の家族生活教育の予防的効果についての批判的検討、教育システムへの反映、家族をめぐる教育のシステム改善の促進( 家政学、家庭科など )を行う必要があります。
 



我々の研究で予想される結果と意義




 諸外国で家族生活教育が言われるようになった背景には、まず、大きくいえば、近代化の過程で家族の機能を外部化していく形で専門職化が進められてきたというものがあります。

 そのプロセスの先で、改めて家族生活教育が見直されている背景には、家族をめぐる問題が、事後的に専門家が処理するのみでは追いつかず、家族自体を強くして予防しなければ幸福な家庭が築けないという実態が生じてきているということが明確になったという点でありましょう。

 各国の家族生活教育のミニマム ・エッセンスを探ることで、「 家族について最低限何を教えるべきか、何を教えてはならないか。」が私たちの研究の成果として見えてくると思われます。

 わが国の家族問題に対する予防的教育を、家族規範を押しつけたり、個人化を推進したりするのではなく、家族の強化 ・支援になるように組み立てていく包括的研究として、極めて意義深い研究としたいと思います。

 特に、諸外国との共同研究や、国内の他分野との連携を図ることで、日本だけの問題として考えるのでも、学校教育の中だけに限定するのではない、別の国々にも援用できるような広がりのあるプログラムが構築できると考えています。



 すでに台湾の研究を始めており、詳細は、

「 台湾における『 家庭教育 』 〜日本の家政学が家族に貢献するための基礎的研究〜
( The Issues about "Family Life Education" in Taiwan :
  A Basic Research for Home Economics' Contribution to Family in Japan )


( 正保正惠( 福山市立女子短期大学 ),山下いづみ( 富士市会議員 ),
 倉元綾子( 鹿児島県立短期大学 ),鈴木真由子( 大阪教育大学 ),
 山口厚子( 名古屋女子大学 ),木村範子( 筑波大学 ),中間美砂子( 元千葉大学 ) )
として『 家政学原論研究 』 No.42 に載っています。

 


2008.3. in Finland



 
 all rights reserved.copyright (c) 2006 Shouho Masae's Lab