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女性の自己受容・キャリア戦略


 本研究室では、とくに女性の「 自己受容 」をキーワードに、卒業研究に取り組む卒業研究グループが続いています。
この流れの嚆矢となったのは、2003年度研究室生のHSさんの問題意識でした。
「 自分のことが好きになれないのはどうしてだろう。 」
と切実に訴える彼女の一言から、調査を設計し、女子高生の約半数が自分のことが好きではないという、驚愕の結果を得ることとなりました。

 そこから出発し、
2003 年度
「 思春期における自己受容に関する一考察
 ★Self-expression and Acceptance by the Important Person★ 」

2004年度
「 Where is my place?
 ―高校生の居場所観・自己受容、性愛観、身体観、将来のビジョン― 」

2005年度
「 育児家族の子育てイメージから見た近代家族の変容 」 の第1章
「 育児満足感と自己受容 」

2006年度
「 成人男女のライフイベントで見る幸福感・幸福観について」 の第2章
「 自己受容 」

2007年度
「 幸せと子育て ―北九州市・福山市の乳幼児を持つ保護者を対象として― 」

と、自己受容の研究は短大に来る女子学生たちの自分自身のテーマと重なってきたようです。

 
 自己受容という概念はロジャース( Rogers,1949 )が用い始めてから注目されはじめた概念です。
彼によれば、自己受容とは、クライエントが次のようになっていくことを意味しています。

@ 自分自身を避難すべきものとしてではなく、価値のある、尊敬に値する人間であるとみるようになる。
A 自分の標準が、他人の態度や願望に基づくものではなく、自分自身の標準に基づくものであるとみるようになる。
B 基本的な感官的素材( basic sensory date )を歪曲することなしに、彼自身の感情、動機、社会的個人的経緯をそのままできることができるようになる。

以上のような現象が起こると、人は自分自身に肯定的な感情を持つことができるようになります。
(※1)

 似た言葉に「 自己肯定 」がありますが、「 自己受容 」の方は、「 嫌いだけど受け入れよう。 」
「 長所も欠点も私は私 」といった、いい意味での諦観のようなモノを含んでいるようです。

 2003年の調査において「 自分のことが好きですか? 」という質問に対して男女差が見られたように、女性が自分のことを受容できにくい環境を検討する必要があります。
そういった意味で、女性が女性の人生の節目節目に必要な学びをしていくことには、まだ意味がある時代が続いていると思います。

 正保自身は、2001年度より、福山市男女共同参画センター( イコールふくやま )の「 福山市女性人材育成講座 」の講師をしてきました。
また、2003年度より、主にその修了生を対象とした「 男女共同参画推進員養成講座 」も担当してきました。
前者はグループワーク中心で研究レポート作成、後者は個人やグループで今まで関心を持ち続けてきたテーマについてのプレゼンテーションの方法を学ぶというものです。

 2005年度は「 男女共同参画推進員養成講座 」を行ったのですが、男性2名の参加もあり、そのテーマは今までと少し違い、女性の抱える問題側の

「 DVを知っていますか 」
「 寸劇を通してDVを学ぼう 」や、
「 40歳からの生き方・働き方をデザインしてみませんか 」


というテーマ群の他に、

「 『 男の出番 』が社会を変える 」
「 男の料理 」
「 めざせ!コミュニケーションの達人!
―お父さんのためのコミュニケーション能力UP講座―
「 BINGO福山オトコ学事始め 」

といった、男性の地域や家庭へのソフトランディングを視点に据えたテーマ群が並びました。

2004.8 in Denmark

 修了式に提案した「 MIKs 」( ミックス/意味は、見ます。言います。聞きます。参画 )を結成、
( ビールやワインを飲み干しつつ、)福山のまちづくりに積極的に参加していこうという決意を固めたところです。


(※1)上田琢哉、「自己受容と上手なあきらめ」、梶田叡一編『自己意識研究の現在』ナカニシヤ出版2002,p190


 
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