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両親の仕事と生活保育


東京都多摩市こぐま保育園と、フィンランド ・ポリ市の保育所保護者を対象に行われた
アンケートの結果の一部を報告します。

 調査の概要
 
多摩市こぐま保育園 ポリ市(ヴァイノラ保育園 +ルオスニエミ保育園)
調査時期 2006年5月〜6月 2006年9月
調査方法 担任の保育士により配布 ・回収 担任の保育士により配布 ・回収
配布数 185 140
回収数 73 83
回収率 39.5% 59.3%
 
 主な結果報告


 ご両親の年代
   
 
【 おかあさん 】 【 おとうさん 】
両親の年代を比べると、父親の方はややポリ市が高く、母親の方は逆にややこぐま保育園が高いという結果でした。この調査では、ポリ市の方が夫婦の年齢差が開いているということになります。



 子どもの数
   
 家族構成
   
子どもの人数は、ポリ市の方が多くなっています。
合計特殊出生率の差がここにも現れています。
核家族の割合は、ほぼ同じでそれぞれ約85%です。
そのほかには、こぐま保育園では拡大家族の割合が多く、ポリ市ではひとり親家族の割合が多くなっています。



 居住環境
   
フィンランドのセミ ・デタッチト ・ハウスとは、続き住宅式 ( 2軒がくっついた形、または3軒以上が平屋または2階建てでつながった住宅 )のことをいいます。
ポリ市では、圧倒的に一軒屋が多く、こぐま保育園では、分譲マンションが多くなっています。
これには、それぞれの地域の事情があるため、一般化して比較することは困難だと思われます。



 母親の就労状況
   
【 就業形態 】 【 子ども罹患時の欠勤対応状況 】
母親は、フルタイムの割合はほぼ同じ状況ですが、こぐま保育園ではパートタイムが多く、ポリ市は無業が多くなっています。日本の幼稚園に当たるところはなく、プレスクールでは全ての6歳児が学ぶというシステムのため、母親が無業でも保育園に通います。

 父親の就労状況
   
【 就業形態 】 【 子ども罹患時の欠勤対応状況 】
父親について、就労状況はほぼ似た状況ですが、子ども罹患時の欠勤対応状況は大きな差があることが分かります。日本では、会社組織の風土の改革は大きな課題と言えます。



 困ったときの育児のサポート
   
母方の祖父母に頼る割合は、ほぼ同じくらいですが、父方の祖父母では、こぐま保育園が大きく下がっています。
日本では、「母子関係」が非常に強く、嫁姑関係がうまく築けないというというのは、私たちの弱点かもしれません。



 毎日の生活
   
【 子どもの朝食 】 【 子どもの就寝時間 】
子どもの朝食はこぐま保育園の方がしっかり食べており、就寝時間はポリ市の方が早く寝ています。
「 しつけ 」の基本ラインが少し違っているのでしょうか。



 子どもとの関わり・母親
   
【 子どもと関わることはどれくらい楽しいか 】 【 子どもとの関わりの中でイライラするか 】
母親の子どもへの関わりも、ポリ市の方がとても楽しいという割合が多く、子どもへのイライラもポリ市ではまったくないという回答が最も多くなっています。比較すると、ポリ市の方が子育てがストレスになっていないといえそうです。



 食事作りの分担・母親
   
こぐま保育園では、母親が圧倒的に食事作りをしているのに対して、ポリ市では、かなり分担している家庭が多くなっています。食事作りの分担に、両国間の大きな違いを見て取ることができそうです。

 食事作りの得手 ・不得手 (母親)
   
 パートナーの家事能力 (母親)
   
母親の食事作りの得手 ・不得手では、ポリ市の方が得意に傾き、パートナー ( 父親 )の家事能力も高く評価しています。つまり、両親ともポリ市の方が家事能力が高いということがいえるようです。



 パートナーの育児協力 (母親)
   
 子どもと炊事 (母親)
   
両方とも協力的であるということはいえそうですが、その程度は、ポリ市の方がより高くなっています。
母親の認知、ということですので、実際の協力は比較していないのですが、少なくとも母親たちはポリ市の方がより満足をしています。
子どもとの炊事に関しては、比較するとこぐま保育園の方が開きがあり、ある家族とない家族が分かれています。



 経済的な満足度 (母親)
   
 保育園選択のポイント (母親)
   
経済的満足度は、ポリ市がまあまあ満足という割合が70%あるのに対して、こぐま保育園では、やや不満の割合が多く30%にのぼっています。
現実の収入は聞いていないが、どうでしょうか。
保育園選択のポイントについては、ポリ市では自宅に近いが半数近くなっています。
こぐま保育園に関しては、保育内容が日本でも有名なほどよいので、わざわざ遠くから通う保護者が多いと思われるため、日本の標準ではないと言えます。



 あなたの育児にはどんなサポートが必要か (母親)
   
必要な育児サポートについては、保育内容の充実、病後児保育の充実、再就職へのサポートでは、両者が同じようにニーズとしてあげていますが、こぐま保育園では、圧倒的に経済的援助や夫の長時間労働が多くなっています。
我が国の経済的子育て支援、企業風土の改善が足りないことがわかります。
ポリ市では、一時保育や保育ママへのニーズが読み取れます。


総じて、ポリ市での子育ての方が、満足度が高いように見受けられました。
背景には、労働環境の違いや手厚い育児支援の他に、男女とも家事能力が高い( という評価 )があります。
そして、さらにその背後に、自分の生活や育児に対する愛着あるいは覚悟あるいはポリシーといったものが横たわっているのではないか、と考えました。
今後は、これらの点について、さらに深く知りたいと思っています。



2004.8. in Denmark


 
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