親性教育と包括的セクシュアリティ教育

親性教育と括的
セクシュアリティ教育
親性教育とは
家族や親になっていくための教育の在り方を,ユネスコが提唱している包括的セクシュアリティ教育の内容を包含した「親性教育」として位置づける。
「親性」とは,性別役割分業が当然視されていた時代に「父性」と「母性」として別々のこととして使われてきた歴史を乗り超えるために措定された言葉ととらえます。大橋幸美ら(2009)によれば,「親性」を親の特性として,①人間としての基本的欲求に基づき,すべての人がもっているものである,②女性と男性に共通するものである,③自己に対するものと,子どもに対するものとの2方向性で捉える,④ライフステージとともに発達していくものである,という4つの視点を持つとされています。
「親性」のほかに,「育児性」「養育性」「養護性」「親(性)準備性」「次世代育成力」など,同様の内容を語る文言があり,大橋幸美らはこれらの各用語について上記の4つの視点との共通性や相違点を検討し,親性の概念を,「親性とは,すべての人がもっているものであり,女性と男性に共通する,自己を愛し,尊重しながら,本文では他者(子ども)に対しでも慈しみやいたわりをもつという性質である。ライフステージとともに発達していくものであり,妊娠・出産・育児期では,子どもに対して保護や育成という能力で発揮されるもの。」とここでも踏襲して定義したいと思います。
包括的セクシュアリティ教育
包括的セクシュアリティ教育とは,ユネスコなどが2009年に作った性教育についての指針,『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(2009年)の中で“Comprehensive Sexuality Education”という言葉が使われた。
①CSEは,基本的人権を基盤とした「性の権利」②多様性を前提としたジェンダー平等の視点③CSEは人間関係を中心に据えたきわめて広い領域を射程に入れています。具体的には,その内容は1)関係性,2)価値,権利,文化,セクシュアリティ,3)ジェンダーの理解,4)暴力(からの)安全の確保,5)健康と幸福のためのスキル,6)人間のからだと発達,7)セクシュアリティと性的行動,8)性と生殖に関する健康である。
日本で一般的に使われてきた「性教育」とはその概念としてはまったく違うものです。人権としてのCSEを別の訳し方にした方が日本では広がっていくようにも思うのです。例えば「包括的に自他を大切にするための教育」ではどうでしょうか。
性的虐待事例からのバックキャスティングにより構築する包括的性教育としての「親性教育」―トラウマ・インフォームド・ケアを手掛かりとして―
[著作]
単著
[発行年]
令和5年
[掲載誌]
家政学原論研究、No.57
[内容]
米国の性的虐待事例を記載している文献から、学校教育で何を教えるべきなのかを検討すると、包括的セクシュアリティ教育が欧米ではメジャーになってきていることが分かった。日本の学校教育では、保健体育の内容よりも広く、人権や親になっていくための教育も含まれ、家庭科教育の役割も大きい。