「 仕事と生活の調和 ( ワーク・ライフ・バランス)」を推進するために、柔軟な就業形態を選択できる雇用環境の整備が重要であり、かつ、子育て世代に限らずすべての労働者を対象とすべきである、という内閣府男女共同参画局の提案は、多くの人々に受け入れられつつあります。
ただし、「 分かっちゃいるけど・・・・」というエクスキューズがあとにくっつくことが多いのですが・・・
G.エスピン・アンデルセン 『 福祉資本主義の三つの世界』 ( ミネルヴァ書房、1991年)によれば、
世界の福祉国家は三つのレジームがあるのだそうです。
ここでレジームとは、福祉の生産が国家と市場と家庭の間に振り分けられる、その仕方です。
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(1) 自由主義型 ( またはリベラル型 ) |
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アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリアなど |
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社会的保証は基本的には 「 悪性のリスク 」に限定され、19世紀の貧困救済の名残りともいうべきもので、社会的格差は広がっていくことになります。
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(2) 保守主義型 ( またはコーポラティズム型 ) |
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イタリア、フランス、ドイツなど |
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リスクの共同負担 ( 連帯 )と家族主義にもっとも顕著に現れており、このことが女性たちに 「 仕事か子どもか 」という二者択一を迫る規範をもたらし、結果として少子化につながっているといわれています。
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(3) 普遍主義型 ( 社会民主主義型 ・北欧型 ) |
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デンマーク、スウェーデン、アイスランド、ノルウェー、フィンランド |
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これらの国々では、福祉の脱商品化、つまり市場への依存からの脱却に向けて積極的な、ある意味では明確な努力を重ねていることに特徴があります。
結果的には平等主義とまた再分配や貧困の撲滅とは同義となります。
また北欧での失業率は、児童や高齢者へのケアが整備され、女性の就業率が75−80%という市場参加の中での数字です。
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では、我が国はこのうちどのレジームを持っていることになるのでしょう?
現在のところ、保守型またはコーポラティズム型といわれるタイプの福祉国家に最も近いといわれています。
デンマークでは、日本から訪れる福祉視察の人々のために日本語の案内パンフレットを作っているというほどに、北欧型の福祉から多く学んでいますが、政策の方向はリベラル型に向かっているように見受けられます。
もっともっと多くを学んでいく必要があるかも知れません。
正保自身は、デンマーク調査をきっかけに北欧型の社会にとても関心を持っています。
福山フィンランド協会の会員となり、様々な活動を始めています。
調査も企画中です。 |
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